第11章 「 さんかく 」 影山飛雄*月島蛍
「ちょっと、ツッキー?冗談もほどほどにしてよ?」
「え?泣きそうな顔してたから、助けてあげたつもりだったんだけど。」
「それはそれはお気遣いありがとうございました!」
私が半ばやけくそでそう言うと、ツッキーは「いえいえ。」と、いい笑顔で言った。
「それにしたって、あんな嘘までつくことなかったのに。」
「嘘?」
「私のことが好きとかさ、いいからね、ああいう嘘!!」
私が笑いながら言うと、ツッキーはさっきまでの顔が嘘だったかのように、急にまじめな顔になると
「嘘じゃないよ。僕は、石井さんのこと、好きだから。」
と言った。
まだ、浅い付き合いだけど、ツッキーがこうやって嘘をつかないことを私は知っている。
「知らなかったでしょ?」
「そ、だ、え?!」
「ははっ。顔、赤い。照れてる?」
「え?!そ、照れるよ?!」
私がそう言うと、ツッキーは笑った。
「まあ、そういうことだから。これからは僕が石井さんのことを好きだということを充分に意識してね。」
ツッキーのその言葉に、自分の顔が熱くなったのは、言うまでもない。