第11章 「 さんかく 」 影山飛雄＊月島蛍

そのあと部室で、山口に石井さんの話をされた。


「結構、石井さんのこと、気に入ってるでしょ？」

さすがは幼馴染。
山口には珍しく、確信めいた顔で僕にそう言った。

「はあ？！何言ってるの？そんなはずないでしょ。」
「そうなの？」

心の中で否定を続けていた僕は、当たり前に否定をした。
でも、その時、気が付いた。
ドアの前の人影に。
そして、それが影山だということに。

そう思ったら、少し、意地悪をしてみたくなった。

「・・・いい子だとは思うけど。」
「ほら！！やっぱり！！」
「いや、そういうのじゃないから。」
「俺、応援してるよ！ツッキー！」
「そういうのじゃないってば。」


一向に入ってこない人影を見ながら僕はそう言った。
これで焦って、影山から石井さんに告白でもしてくれれば万々歳。
僕が聞きたくもない恋愛相談に乗ってきた意味も出てくる。


しばらくすると、日向と一緒に影山は部室に入ってきた。
なんとも言えない、悔しそうな、悲しそうな顔をしている。


いいよな、そんな顔をしていても、数時間後には、石井さんから告白をされるんだから。
僕は、そう思っていた。