第1章 [化け物]
薄い茶色でセミロングの少女が街を歩いていた。
__私、スカレットシーラは久しぶりに街をうろついていた。
何故久しぶりなのかというと、私は化け物だから。なぜ、化け物なのか
というと、吸血鬼の末裔だから。
まぁ、末裔って言っても、クオーターらしい。
吸血鬼と言っても、日光は平気。
でもやっぱり原形は少しとどめていて、十字架、ニンニクは少し苦手。
そして、血は吸わない。
いや、正確にいえば一応八重歯ははえていて血を吸うことができる。
吸うと言っても私の場合、吸った人の病や怪我を治すことのできるいわゆる
[癒し]の力を持っているらしい。父がそう言っていた。使ったことない。
私は将来、壁の外に出たいと思っている。
なぜなら、壁の外に本物の吸血鬼のおばあちゃんと、おばあちゃんを探し
に行ったきり帰って来ない姉がいる。
私の生まれる前なのでよくわからないけど、母から聞いた。
おばあちゃんと姉に会うため、私は外に出たい。
でも、そのことは家族はともかく、口外したら駄目だ。なぜなら________...
「ぐはぁっ!」
唐突に声がした。思わず振り向いた。
___そこには私と同じくらいの金髪で青色の瞳の男の子と、その子を
いじめている男の子3人がいた。
金髪の男の子はなすすべもなく家の壁に押さえつけられている。
「どうした異端者!悔しかったら殴り返してみろよ!」
そう、異端者_____...私も口外したらそう言われる。
この子も壁の外に行きたいとか言ったのだろうか。金髪の男の子が重々しく
口を開いた。
「殴り返すもんか...!そんなことしたらお前らと同レベルだ!
僕の言ったことが正しいと思ったから言い返すことが出来なくて
殴ることしか出来ないんだろう!」
たしかに...一里ある。頭良さそう。感嘆していると、
「うるせぇよこの野郎!」