第2章 [別れ、そして出会いと再会]
___訓練兵になって、しばらくたった。
セミロングの髪は、切らずにサイドで結んだ。訓練の邪魔になるから。
...今日もまた、脱落者が何人も出た。情けないと思った。
私は絶対脱落しない。
脱落したら、おばあちゃんにも、お姉ちゃんにも会えない。巨人だって殺せない。
そのためにも、頑張らないと。
ニコだって、家を必死に守っていることだろう。
____...負けないからね。
訓練は、私が思ってたよりもきつくなかった。
体力や力は自信あったし、立体起動装置も慣れれば結構楽しい。
___一番辛いのは、吸血鬼の末裔だと言うことを隠すことだった。
私は隠し事が苦手だし、罪悪感でいっぱいになる。
赤い瞳は珍しいね、で済んだし、名前を言ってもわからないようだった。
訓練はほどほどに力を抑えないと、明らかに常識離れする。
我慢するのも辛かった。...精神的に辛い。
辛くて、死のうとしたのは一度や二度ではない。
死のうとするたび、お姉ちゃんにも、おばあちゃんにも会えない...そう思って踏み止まっている。
...死ねないけど。
一回、本当に首を切断されたことがある。私がまだ小さい頃だった。
確か、誘拐されたとき、身代金を要求されたらしい。
親が調査兵団である父を連れてきて、焦った犯人は私の首を切断した。
しかも、かなり深く。普通なら死んでいるぐらいに。
そして...一日経ったら元通りになったらしい。
...良く覚えていないけど。
ってあれ...?その後犯人はどうなったんだっけ?
まぁいい。...しかし、
「はぁ...。」
気苦労が絶えない。
けど、頑張らないと。
血が繋がっているのは、もう壁外のおばあちゃんとお姉ちゃんしかいない。
死んでしまったら巨人も殺せない。
「よし...頑張ろ!」
口に出して自分を奮い立たせる。
すると唐突にごん、と鈍く、嫌な音がした。