第4章 Are you カラ松 giel?
「俺は松野家に生まれし次男、松野カラ松さ。
覚えてたぜ、お前の顔。
俺はまさしく運命に翻弄されしギルドガイ。
その昔、女神が夢に現れて告げたのさ。
この先の人生、女性と親密になることはないでしょう、と。
しかし、たった一人を除いて。
そう、それが誰かは……もうわかるだろう?
すみれ……唯一無二のカラ松ガール。
俺が欲しいのは……君さ。」
「てやんでぃバーローちくしょー!カラ松じゃねーか。まだリゼは来てねーぜ?
それにしても、なに電柱相手に一人芝居繰り広げてんだよ。
元演劇部だったからって、気ィつけなきゃ不審者と間違われちまうだろーが。」
「……いや、気にしないでくれ。」
「そうかー?そんじゃ、オイラは仕込みをおっぱじめるぜ、てやんでぃバーローちくしょー!」
兄貴はレンタルビデオ屋、チョロ松は地下アイドルのライブ、一松は猫と戯れて、十四松は野球、トド松は買い物。
今日がチャンスと、思ったんだがなぁ……。
まさかチビ太に冤罪の可能性を指摘されるとは。
どうしても見て欲しいんだ。俺の格好良いところを、君に……。
そうこうしてる間に、君がきた。
「こんにちは~!……あれ?カラ松さん、お早いですね!
まだ仕込みも終わってませんよ?」
「よぉ!すみれ。カラ松のやつ、まだ仕込みも初めてねぇ頃から来たんだぜ!笑っちまうよなぁ。」
「ええっ?!そんな前からここに……
どうぞ、座ってください!まだおでんは出せませんが…
あっ!そうだ。皆さんに食べてもらおうと思って、
クッキー焼いてきたんですよ。よかったら食べませんか?」
すみれがふんわりと優しい笑顔を俺に向けてくれる。
あぁ、まさに天使、いや女神か。彼女の素晴らしさ
は、どんな言葉をもってしても形容できないのだろうな。
「あぁ、頂こうか。」
いつもの指定席のとなりに、すみれがいる。
というか近い。長いまつ毛や華奢な腕に、女の子だなぁ、
と感心する。