第2章 同愛 <学生 百合 純愛 少し·····>
「好き...」
もう、この想いを隠したりはしない。
色めき立つみんなを差し置いて、私は螺園ちゃんだけを見つめていた。
「ちょっとぉ..何言ってんの...っ!私、結局家から出ていったっきり一人暮らし始めちゃったから、この先どうなるかもわかんないのにぃ...」
膨らんだ螺園ちゃんの頬は、咀嚼した苺のように毒々しい赤。
ーーー可愛い..
彼女を噛んで、砕いて全て飲み込んでしまいたい...
「なんとかなるよ...おうちの人にバレちゃって、どうしようもなくなったその時は、..」
螺園ちゃんの、しっとりとした指を握りしめる。机の下で。
「駆け落ち、しよう?」
そう、続け..螺園ちゃんへ首を傾ける。
「な、なんでそんな余裕なの...!?かつての瑠々はどこにいっちゃったのよ..!!」
好きな人に抱かれ、そして抱いた私は強かになってしまったのだろう。
例えばこの先、誰かに後ろ指をさされても、罵られても...
螺園ちゃんと共に生きられたら、私は、私は...
何にだってなれるの。
「こんな私は嫌...?」
彼女の瞳を覗き込む。
ーーーねぇ瑠々...
「い、イヤ...!!じゃないけどっ...!!学校ではやめなさいよッッ!!」
ーーー昨日は、怒鳴ってしまってごめんなさい...
「じゃあ明日のお休み、ゆっくり返事をきかせて...?」
螺園ちゃんは、その場で押し黙ったままだった。
ーーー黙ってごめんなさい...でも、本当は私...私...
ーーーーーー瑠々の事、愛してる....っ
ねぇ螺園ちゃん。
目を合わせてくれなくなった、耳元の赤い彼女を眺め続ける。
まだ明日になってないのに、もう見えちゃった...
触れられないのに愛おしい、
この世で1番の、
幻が...............
第2章 同愛 <学生 百合 純愛 少し·····> 完