第2章 同愛 <学生 百合 純愛 少し·····>
「はッッッ!!」
私は目覚めた。
「お目覚めですか。お嬢様。」
私は聞こえた声に反応せず、辺りをキョロキョロ見回した。
自分に布団がかけられてあって、それは高級毛布で肌触りが良い。
つまり私の家?ッッそんな今どうでも良い事じゃなくて
「どうして家に帰したのよッッ、私はもう行く瑠々のところに行くわ!!」
と布団をガバッと足で蹴ろうとした瞬間、
ーー足が動かないわ!!
そして私はギッと黒い影の方を向いた。
キチッとした黒い服を着る、礼儀正しくそして腹立たしくもある男は、何の感情も表さず、見下すようにどこか虚ろな視線を私に送り、言った。
「お嬢様、夕食の時間でございます。」
「またあんたっ、やめなさいよっ!!私に変な薬飲ませてっっ···!!」
嫌がる私の体をひょいっとスマートに持ち上げ、――お父様がいる、リビングまで私を運ぶようだ。
「お止め下さい。手を激しく動かすとはみっともない。お父様のお顔に泥を塗るおつもりですか。」
と、この執事は下を向かず、声に抑揚も高低も無く無機質で、ただお父様のところに私を連れていくという仕事を着々と行っている様子だ。ーー
その様子に余計に腹が立つ。
「いいから下ろしなさいよっ!!」
「お父様のご命令は絶対でございます。お嬢様が一番お分かりでしょう。」
それに、お嬢様を下ろした後、その足もロクに動かないというのにどうするおつもりで。と言いたげな雰囲気を醸し出す。
「········ッッ!!!」
私は抵抗を止め、ジッとして冷静に考え始めた。どうしようーー
実はーーーー
私には、お父様が選んだ婚約者がいるのだ。·····勿論男性の。