第248章 ⁇?.憧れは 理解に最も遠い感情である
こうして、上手く丸め込まれた私は、この二人と共に生きることになった。
「惣右介!おめー魚捕んのホント下手くそだな!!んなに水飛沫あげたら、全部逃げるっつーの!!」
最初はわからないことだらけで、一に怒られることの方が多かった。
本当に自分にこの生活が続けられるのだろうか、いっそ死んだ方がマシなんじゃないだろうかと何度思った事だろう。
しかし、そんな生活も意外に慣れるものだ。
いつしか私は、3人の中で一番魚を捕るのが上手くなり 3人の中で一番火を起こすのがうまくなり
3人の中で一番 その霊力も高くなった。
「凄い霊圧の奴が近くにいると思ったら、お前だったのか惣右介」
あばら家の今にも外れそうな戸を開け、彼女が中に入ってくる。
「先生」
「一と二子は」
その言葉に首をふると 先生の表情が強張ったまま、家の奥に入って行った。
そのまま襖を開けると、土の寝具の上で寝ているような二人に彼女は小さく呟く。
「……そうか」
先生が動かなくなった二人を抱きしめた。
二人がこうなった理由は わからなかった。
ただ 二人を抱きしめたその腕で 私を抱きしめた彼女が 酷く冷たかったのを覚えている。
枯れ木の森の中 小さな砂の丘が二つできる。
丁寧に作られた花の冠が 丘に刺さった二本の棒の上にかけられると、彼女は呟いた。
「惣右介、霊術院に来い」
「え…………」
「お前には霊力の素養がある。それに、瀞霊廷はここよりもずっといい場所だ」
「しかし……」
「お前は頭がいい。私よりも、遥かに。きっと良い死神になるだろう」