第232章 -104.Turn Back The Pendulum5
百一年前
浦原喜助の隊長就任から 九年後
「流魂街での変死事件について か?」
ボロボロのあばら家で 胡座をかき 臨が書類を確認していく。
それに藍染は頷くと 臨は膝の上で眠る妹の頭をそっと撫で すまないと答えた。
「犬吊では聞かないな。それにしても 服だけ残して跡形も無くいなくなるってんなら 魂魄を分解する未知の病原体の可能性が高いだろう。それなら技術開発局に研究を頼むのが一番手っ取り早いんじゃないのか?」
「…………姉さん……?」
「…ああ ルキア うるさかった?」
もう少し寝てなさいと少女の頬を撫でる。すると少女は 再びゆるりと瞼を閉じた。
「……………」
「とにかく 私は変死事件について力になれることはない。すまないな」
「いえ むしろこちらこそ失礼しました。」
ふと、藍染の視線がルキアへと向けられる。
「……先生 先生は今 幸せですか?」
「…………どうした急に?」
「いえ ………昔に比べて 随分と雰囲気が……その 柔らかくなったなと感じまして……」
「そうか?今も昔も変わらない気がするがなあ…………まあ 変わったというのなら この子のせい……いや おかげというべきか。この子のおかげなのかもな」
スヤスヤと眠る 幼子。
その 酷く穏やかな姿に 藍染は口元に笑みを浮かべる。
「……それでは これで失礼します」
「ああ 力になれなくてすまない」
臨が再び 謝罪を口にする。
それに謝らないでください と言うと 藍染は立ち去った。