第212章 289.The Scarmask
柱へと叩きつけられる一護に 臨が自身を拘束する人物へと視線を向ける。
「その傷で 僕を倒そうなどと思わない事です」
しかし その言葉に彼女は眉根を寄せた。
「貴女は強く 僕を倒すなど容易いでしょう。ですが こちらには人質がいます」
織姫へとちらりと視線を向ける。
「抵抗すれば 彼女を殺します」
その言葉に 臨の眉間にシワが寄った。
それと同時に 一緒にいた筈の幼い彼女の姿が見えない事に気付き 織姫と視線が合う。
そして織姫が首を動かすと テスラはそういえばと呟いた。
「最初に貴女方と居た 破面の姿がありませんね
そこか」
視線が一点へと定まり 大岩が破壊される。
「ネルちゃん!」
「うう……ううう………っ」
そこから現れた彼女に 織姫は駆け寄ろうとするも 再びテスラの虚弾で止められる。
すると ノイトラは気付いたように視線を向け 口を開いた。
「お前……ネルか?」
「………え…?」
ネルの視線が ノイトラへと向けられる。
「やっぱりだ その仮面紋!随分と見すぼらしくなったモンだな ええ!?どうだ?割れた仮面は疼くか?オイ!」
「…う……あうう………」
ネルの身体が ガタガタと震える。
「……どういう事ですか………ネルを知っているって……」
臨の方へ ノイトラが視線を向ける。
「何だァ?なんでコイツがこんな処に居んのかと思ったら てめえが連れて来たのかよ?……まァ そのツラ見る限りじゃ コイツが何者かなんて知らねェまんま連れ回してんだろうがな
知らねェなら 教えてやるぜ」
ひどく残酷な笑みを 浮かべる。
「こいつは ネル
ネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンク
元・十刃だ」