第182章 253.Don't Call Me Nino
「そうかね?」
ドルドーニが答える。
「戦いの為に自らを律する 強さを求める者には必要なことだ。素晴らしい事だと思うがね」
「…仲間にケガさせてまで貫く程のことじゃねえよ」
「強さが目的ではないということか?仲間を守ることが目的であり 強さは手段に過ぎぬと?優しいなぼうや 聖女を思わせるよ。だが…まだ上があるだろう
知っているぞ 虚化 と言う。
ぼうや達の霊圧記録は全てこちらに届いている。ぼうやには 虚に近付いて爆発的に戦力を昇げる術がある筈だ それを出し給え!」
凶悪ともいえる霊圧の攻撃が一護を襲う。
それを彼は片手で受け 弾き返すとドルドーニは高らかに笑った。
「成程!大した霊圧だ!だが言った筈だ!吾輩はぼうやの全力が見たいと!
手段は 選ばんぞぼうや」
直後 臨とネルにその 魔の手は襲い掛かる。
それに反応し 一護はすぐさま二人を腕に抱き込んだ。
「…フン どうした 怒っているのかねぼうや?」
「てめえ…」
ネルを抱きかかえる臨の腕から 血が流れ出る。
「何を怒ることがある?ぼうやの目的が仲間を守ることならば 吾輩の目的は 全力のぼうやを倒すこと。その為に吾輩が狙うのはぼうやでは無く そこのお嬢ちゃん二人 それだけのことだ」
「恥は…無えのかよあんたには!」
「あるとも!吾輩の恥は!本気のぼうやと戦えぬことだ!…それに比すれば全ての恥など無きに等しいものだよ ぼうや」
すると一護は 臨を腕から離しわかったと呟いた。
「臨 ネル ちょっと下がっててくれねーか」
すると臨は 何も言わず一護の半歩後ろに下がった。
「ああ…そこでいい 大丈夫だ。俺の後ろには カケラ程の霊圧も通させねえ」
一護が構える。
「悪いが 見せてやれるのは一瞬だ」
「充分だよ」
「…そうか…そりゃ 良かった」
次の瞬間 黒い霊圧が一護の周りに湧き上がり その仮面を出現させた。
その様子に ドルドーニが歓喜する。
「素晴らしい 素晴らしい霊圧だ!こんな素晴らしい敵と戦えるとは!感慨無量だよぼうや!さあ!今こそ吾輩と力の全てを!酌み交わそうではないか!ぼうや!」
刹那
ドルドーニから血が吹き出 その身体は地面へと崩れ落ちた。
「一瞬だって言った筈だぜ」
そう言う一護の顔には 仮面が既に消えて無くなっていた。
「無念」