第110章 150.Countdown to The End:0
双殛の紐が解かれ、静かに周囲の霊圧が上昇する。
それを見てルキアは市丸により乱された心に静けさが戻ってくるのを感じた。
総隊長の約束のおかげか
或いは
心乱し無様にも生に縋りつこうとする私を
兄様が一分の隙も無く突き放してくれたお陰か
「……….ありがとうございます……
兄様 …… 」
腕の紐が解かれ 磔架の拘束具がルキアの両の腕と足を捕らえる
ゆっくりと浮き上がる体
その最上部まで浮き上がると、双殛の周囲に霊圧の渦が巻き起こり焔へと姿を変える
焔が矛を包み その形すらも変える
例えるならば そう 鳥
巨大な翼を広げた 焔の鳥
「燬鷇王」
双殛の矛の真の姿にして
殛刑の最終執行者
恐ろしくは ない
私は 良く生かされた
恋次達と出会い
兄様に拾われ
海燕殿に導かれ
一護に救われて
血の繋がらない臨殿に愛された
辛くはない
悲しくはない
悔いはない
心も 遺してはいない
ありがとう恋次
ありがとう浮竹隊長
ありがとう井上
ありがとう石田
ありがとう茶渡
ありがとう兄様
ありがとう一護
「さようならーーーーー姉さん」
「まだ、サヨナラには早いですよ………ルキア」
ルキアの目が大きく見開くと、よく見知ったその人にルキアは驚愕した。
目の前にいるその人物は片手で、それを止め、彼女の隣にいる一護は臨にいいとこ取られちまったと呟くとその磔架の上へと降り立ち、ルキアにようと声をかけた。