第91章 119.Secret of the Moon
「………逃げられちまったな…」
浮竹がそう呟くと、白哉はその場に背を向けた。
「あ!おい!どこ行くんだ白哉!!こっちのこいつらどうするんだ!?お前が始末しに来たんだろうが!!」
「興味が失せた、後は好きにしろ」
その言葉に浮竹は大きくため息を吐き、勝手な奴だと困った顔をすると何かの倒れる音にそちらへと視線を向けた。
「る……ルキアさんっ!?」
その様子に緊張の糸が切れたのかと目を細める。
そして口元に手をあてると、ある人物たちを呼んだ。
「おーーーい!仙太郎!清音!!出てきてくれーーーーっ!」
その瞬間、二つの影は降り立ち二人同時に言葉を口にした。
「「お呼びでありますか隊長!!」」
十三番隊第三席
小椿仙太郎
虎徹清音
その二人に花太郎は敵かと身構えると、浮竹はやっぱりついてきていたのかとため息を吐いた。
「いつからいた?」
「"ふうっ!やれやれ物騒だな"からであります隊長!!!」
小椿の答えに最初からかと呆れた顔をする。すると仙太郎は自分は隊長を尊敬しているためついて来ずにいられなかったと言うと、清音も負けじと声を張った。
やんややんやと辺りが騒がしくなる。それにさらに浮竹は頭をかかえると、とにかく四番隊に連絡してくれと言った。
「それと、朽木を……………もう一度牢に入れてやってくれ……」
すると仙太郎は一瞬躊躇うが、はいと答えるとルキアに近づき、その近くにいた花太郎にどけと呟いた。
「い、嫌です!ルキアさんをまた牢になんて……」
「さっさとどけハナクソが!!俺様が好きこのんでこんなことす?と思ってんのかコラァ!!」
「ひい」
花太郎が悲鳴をあげる。
そして仙太郎はルキアを抱きかかえると、必ず牢から出してやるからなと泣きながら言った。
「ずるいぞ小椿!朽木さんのことなら私の方がずっと心配してんだから!!」