第63章 75.血雨
兕丹坊の肩から血がドロドロと溢れる。痛みに耐え、なんとか門を肩で支える。
その様子に一護たちは絶句していると、市丸は凄い凄いと拍手した。
「片腕でも門を支えられんねや?サスガ尸魂界一の豪傑。………けどやっぱり、門番としたら失格や。」
そう言うと兕丹坊は落ち着いた声で答えた。
「負げだ門番が門を開げるのは……あたり前のこどだべ!!」
「ーーー何を言うてんねや?わかってへんねんな。………負けた門番は門なんか開けへんよ。門番が"負ける"ゆうのは………"死ぬ"ゆう意味やぞ。」
市丸が刀に手をかける。
瞬間、一護が市丸に飛びかかった。
刀と刀が合わさる。
一護は跳ね、後ろに下がると刀を振り、市丸へその切っ先をむけた。
「何てことしやがんだこの野郎!!!兕丹坊と俺たちの間でもう勝負はついてたんだよ!それを後から出てきてちょっかい出しやがってこのキツネ野郎!」
「…………」
飄々とした態度で市丸が刀をひく。
「来いよ、そんなにやりたきゃ俺が相手してやる。武器も持ってねえ奴に平気で斬りかかるようなクソ野郎は……俺が斬る。」
その言葉に、男は小さく笑った。
「おもろい子やな、ボクが怖ないんか?」
「ぜんぜ……」
「一護くん!」
臨の声に市丸の視線がそちらへと向く。
「止しなさい!ここはひとまず退きますよ!!」
すると市丸は興味深そうに再び一護へと視線を向け、納得したかのように呟いた。
「………キミが黒崎一護か。」
「!知ってんのか俺のこと?」
その言葉にやっぱりそうかと背を向ける。
それにどこ行くんだよと一護は追いかけようとするが、市丸が刀を横に振ったことによりその歩みを止めた。
「何する気だよそんな離れて?臨みたいにその脇差投げたりすんのか?」
「脇差やない。………これがボクの斬魄刀や。」
市丸が構える。
それに一護も慌てて刀を構えると、彼はポツリと呟いた。
「射殺せ 神鎗」