第30章 37.Crossing The Rubicon
空に亀裂が入り、そこから虚が顔を覗かせる。
直後、光の矢が虚の仮面を貫通し、その存在が消滅した。
「まずは一匹。」
そう言う石田の襟に掴みかかる一護。
それに冷静に石田がなんて顔をしてるんだと言うと、彼は元に戻せと呟いた。
「無茶を言うなきみは……賽は投げられたというやつだよ、じきに撒き餌につられた虚でこの町は埋め尽くされる。僕に掴みかかるよりも先に、走った方がいいと思うよ。君が少しでも多くの人間を虚から守りたいと思うのならば。」
「てめえ!」
「そして気をつけた方がいい、知っているだろうが、虚は霊力の高い人間を好んで襲う習性がある。」
「……っくそ!!」
走り出す一護。その背中を見て石田は呟いた。
「よく探せ黒崎一護……君の近くにいる人間、霊力の高い人間は家族だけじゃない筈だ………それに気付かない限り、君は必ず僕に敗れ、自らに対する失望に殺される…………そして君は自分の能力の低さを思い知るんだ、このルビコンの対岸で。」