第326章 610.MAXSOLEUM OF SKULLS
「何故 私が死ななかったのか
何故 私からお前の力がはがれ落ちたのか
何故 自分が敗れるのか
知りたいと考えているな」
ユーハバッハが呟く。
「眼 を開いた私は 今この瞬間から遥か未来に渡る全てを見通す事ができる。
見通したものを全て知る事ができる。そして 知った力は全て私に味方する。
その力で 私を倒す事はおろか
傷付けることすらできなくなるのだ。
それが我が力 全知全能」
「わしが 敗れるか」
一兵衛が、笑う。
「黒蟻の名をはがしたくらいで 調子づいたもんじゃのう。かつてユーハバッハじゃった名も無き者よ。
そんな黒いなりして わしをどう倒すと言うんじゃ。知ることはできても 忘れたか
全ての黒は わしのものじゃ!」
黒が 世界から抜ける。
「宵闇ィよ 常闇ぃよ
ちょいと来い〜〜
ちょいと顔見せ 呑んで行け〜
呑めば命も 飛んで行く〜
死出の道にも 花がァ 咲くゥ〜
肴はどこじゃ
真黒に染めて
八ツに裂いて
真黒な炎で
真黒に炙って
ぺろりと喰らおう
喰ろうて残った
真白な骨で
墓標を立てて
弔うてやろう
おんしが二度と
生まれて来ぬよう
わしらの贄に
ならぬよう
不転太殺陵!!!」
真っ黒な社が 出現する。
「百年後の尸魂界から 夜を百夜奪って拵えた おんしを弔う墓標の群れじゃ。
おんしの纏う黒までも吸い上げ おんしの血も肉も骨も何もかも 黒く潰して無に還る。
転生すらも許さぬ」
「「真黒な地獄へ 堕ちるがよい」」
声が 重なる。
「!!!」
「全て見えていると言った筈だ」
一兵衛が言葉を失う。
「ーーーお前は忘れているな。お前が封じたその刃の 封じたそれのその色を」
一兵衛の背後の墓標が消え失せる。
「ま さか」
ゆっくりと振り返ると 白に包まれた瑠璃の光が構えられたソレに 眼を見開く。
芭蕉臨と呼ばれたその人物は その真名を 口にした。
「葬神天滅」
一兵衛の体が バラバラに引きちぎれる。