第323章 607.THE MASTER
「死神共を統べる零番隊 その頭目が、私の力を恐れて力の半分を殺いだのだ
こんな気分の良い話があるか!」
ユーハバッハが笑う。
「……だが 残念だったな。半分に殺いだその力さえ……私は自らに再び与える事ができる」
その力が 光を帯びてユーハバッハへと取り込まれる。
「!」
「理解できぬなら教えてやる。何者も 私から何一つ奪う事はできぬ。
貴様のその力でさえもな 兵主部一兵衛。
知らぬなら 今ここで知れ
この世界の全ては 私が奪い去る為にあるのだ!」
純白の霊圧が 一兵衛へと向かう。
それを彼は両手で叩き潰すと やれやれと頭をかいた。
「人の優しさを解らん奴じゃのう。おんしの面目の為に わざわざ力を半分に殺いでやったというに………」
「ーーー……何だと?」
「全力のおんしが叩き潰されたら 滅却師共への面目が立つまい!」
一兵衛がとぶ。
「まあ 死んでしまえば面目も糞もないか!
百歩欄干!!」
縛道がユーハバッハに飛ぶ。
それを男は防ぐと 一兵衛は感嘆の声を漏らした。
「静血装というやつか!」
「外殻静血装。防御壁を体外まで拡張する」
「面白いのう!」
すると一兵衛は その右手を掲げた。
「裏破道 三の道
鉄風殺!!!」
爆風が 防御壁を吹き飛ばす。
一兵衛はユーハバッハの首を掴むと 力を込めた。
「私に 触れたな?」
途端に 静血装が一兵衛の体を侵食する。
「外殻静血装は 私の体に触れる全てを侵食して静血装を拡大する!私に触れればお前の体までもな!!」