第314章 597.Winded by the Shadow
天示郎は その顔に悔しさを滲ませると 膝をついた。
ユーハバッハたちが そこを通り過ぎ 目の前に現れた階段へと視線を向ける。
「久しい顔じゃのう 芭蕉臨、ユーハバッハ。
招かれもせぬのにこの霊王宮に立ち入るとは 元柳斎を斃して余程血迷ったと見える」
ユーハバッハが 階段を上っていく。
修多羅千手丸の横を通り過ぎ その最上段へと今正に足を踏み込んだ直後 千手丸は呟いた。
「不届き」
黒の隠密たちが ユーハバッハを囲む。
「霊王の刃の 錆となるがよい」
「………霊王の刃 か」
直後 隠密達の首が一斉に床へと落ちる。
それに千手丸は目を見開くと 臨へと視線を向けた。
「………」
ユーハバッハが呟く
「腹立たしいか 霊王の劔よ。この様な弱きものたちが 霊王の刃ということに」
臨の手が 腰の刀へとかけられている。
「………千年見ぬ内に 随分と腕を上げたようじゃのう ××××よ」