第302章 515.RELICS
雨と共に 怪我人が四番隊救護詰所へと搬入される。
「……ようやく 怪我人の搬入が始まりました」
勇音が呟く。
「結局 戦闘中は1人の怪我人も運び込まれてきませんでしたね………
卯ノ花隊長、私達は四番隊舎に居たままで良かったんでしょうか……瀞霊廷中を走り回っていればもっと怪我人を」
「勇音」
厳しい声に 勇音が口を噤む。
「感情に任せて口走ってはいけません。不安に駆られて 綜合救護詰所を空けることはたやすい。ですが それをしてはならぬと説明せねばいけない程 普段の貴女は浅はかではない筈です」
くしゃりと 勇音の顔が歪む。
「…………はい 申し訳……ありません……!」
ボロボロと溢れる涙。
「……泣かなくとも良いのです。勇音。
四番隊舎を動くな 何があっても。
それが 総隊長が私達に下された 最後の命令だったのですから」