第301章 514.BORN IN THE DARK
「××××!!」
ハッシュヴァルトが叫ぶ。
その爆煙が一瞬で晴れると そこにはその額から血を流す臨が立っていた。
「……失敗ったな」
ユーハバッハが呟く。
「どうやら生粋の滅却師を足止めに使ったのは失敗だった様だな……破面崩れでも使うべきだった……お陰でこんなにも早く 霊圧の中の記憶を喚び起こしてしまった」
その言葉に 一護が反応する。
「……何を、言ってんだ……?霊圧の記憶……?滅却師が何だって…………?」
「そうか、お前は自分の事を何も知らぬのだな。
自身の 母の事さえも」
ユーハバッハが 腰に刺してある剣を抜く。
「何を」
「連れ帰ってゆっくりと再教育してやるつもりだったが、そう悠長に構えてはいられなくなった。
力尽くで屈伏ささて 連れ帰るとしよう」
ユーハバッハの腕が 一護の頭を捕らえる。
そしてそのまま剣を振り上げ 今正に貫こうとしたところで
影が 彼の腕へと纏わり付いた。
「………これはーーーー」
ユーハバッハの視線が 臨へと向けられる。
「そろそろ 洗脳が解ける頃かと」
「馬鹿な まだ時間はーーー」
ユーハバッハの脳裏に 藍染の顔が浮かぶ。
「……そうか 藍染惣右介、奴の小細工か。接触した数分間に私の感覚を僅かに狂わせたか…………ハッシュヴァルト、貴様気付いて黙っておったな」
「お止めしても 無駄かと思いまして」
その言葉に ユーハバッハが一護に背を向ける。
「待て!!!!」
ゆっくりと視線を向けると 一護は逃すと思うのかと大声を張り上げた。
「尸魂界をこんなにしたてめえを……逃がす訳がねえだろ……!!」
しかし ユーハバッハは歩を進める。
「待てって言ってんだ!!!」
一護が血を蹴る。
次の瞬間
臨は聞き取れない何かを呟き 次の瞬間 一護が握っていた斬月は 色を失い中から折れた。
「さらばだ 黒崎一護。
いずれまた迎えに来る。傷を癒して待つがいい。
闇に生まれし 我が息子よ」