第278章 476.THE LOST
「………そうか 忘れてたぜ。あんたも死神代行だったっけな」
煙が晴れていく。
「そうだな。だがもう一つ忘れてるぜ。
言ったろ 俺達は全員産まれる前に 親が虚に襲われてる。
俺の中にはーーー虚の力も混ざってんだ」
白髪に 十字の傷
銀城は口元に笑みを浮かべる。
「そうかよ」
一護はその煙を剣の一振りで掻き消すと 真っ直ぐとその目を見つめた。
「かかって来いよ銀城。さっさと片を付けようぜ」
臨が一護から視線を逸らし 斬魄刀を抜く。
それにルキアはどちらに行かれるのですかと問いかけると そっと目を細め 穏やかな声で答えた。
「尸魂界に帰還します」
「え……」
「目的は達成しました。我々の任務……黒崎一護という人間の決断を見届ける という任務を」
「あ!?バカ野郎 俺はヒマだから見に来たんだ!おめえらと一緒にすんな!」
「そうですか」
剣八の一言をあっさりとスルーして一歩進む。
すると日番谷は言葉を続けた。
「……尸魂界では 次に死神代行が現れれば 遅かれ早かれ銀城がそいつに目をつけるであろう事は解っていた。そしてそうなった時には その代行を銀城の居処を洗う餌として使い、然るのちに両者共に抹殺すべしという意見が隊長達の大勢だった。
だが その代行に触れて尸魂界は変わった。
殺す筈だった死神代行の為に力を分け与え 殺す為では無く見届けさせる為に隊長達を派遣した。
朽木、お前はあの時先生と一緒に「黒崎一護の監視の為」と命を伝達されて反発したな。
お前は正しかった。黒崎一護は真実を知り 決断した。
その決断は俺達の知る黒崎一護の そして お前達の信じた黒崎一護の 何も変わらない決断だった。
俺達の役目は終わった ここから先はあいつが一人で片を付けるだろう。
銀城の次の死神代行が あいつで良かった」