第1章 0.Opening
校舎の屋上、灰色の制服をきっちりと着た長い黒髪の美女は携帯を一瞬睨みつけると、その視線を空へと上げ溜息を吐いた。
よく晴れた春の昼というのにその空気は異様に重く冷たい。
嫌な予感に一瞬身震いすると、ガチャガチャと扉が開かれる音が聞こえた。
「臨ちゃーん!一緒にお弁当食べよう!」
自身を呼ぶ声の方に視線を向けると、飴色の髪をした少女がにこやかに手を振っていた。
にこやかに振り返り、手を振る。
素早く送信ボタンを押し、確認せずにスカートのポケットへと仕舞うと美女は飴色の少女の元へ早足で近づいた。