第33章 やるならみんなで
「そんときどこ行ったの?」
「100円ショップなのだよ」
「…何しに?」
「ラッキーアイテムを探しに買い物に行った。たまたま苗字に会っただけだ」
当時つけまつげがどこに売ってるか調べも出来ず、ここなら間違いなく売っているだろうと来た矢先の出来事だった
そう言えばあの時「貸しの内容を考えておく」と言われたが結局返されていないと思い出す
気が付いてしまうとなんだか気持ち悪いので早急に返してもらいたいと考えていると、隣に立つ高尾が「オレの場合はさー」と当時を振り返りながら話し始めた
「オレより先に妹ちゃんが仲良くなってたからな、なんか転んだらしくて」
「妹がか?」
「いや転んだ名前ちゃんを妹が介抱したらしい」
どういうことだと考えるが転ぶ苗字の姿はなんとなく思い浮かぶし、下駄をすっぽ抜けさせたり変なとこで抜けていることを赤司からは聞いている
それで高尾の妹と仲良くなってさらに兄にである彼と仲良くなったのかと、自分では起こり得なそうもない高尾の話に相槌を打つ
「あとはなんか男への誕プレ買うのに手伝ってくれって言われたな
まーあれ赤司だったんだろうな、今思うと全部赤司が好きなもんばっかだわ」
「赤司の誕生日は12月20日なのだよ」
「あー時期までそうだったな。ぴったりだわ」
それは中学の頃からおおよそ分かっていた
会場で見かけた際や、実際試合で会った時の赤司はもちろん彼女からの信頼の置き方が違う感じがしたと、バレンタインに尾行されていた苗字を思い出し、高尾が笑う
まあ鈍感な緑間は分かっていなかったのだろうと隣にいる彼を盗み見ると、「ああ」と何か思い出したように口を開いた
「あの後、苗字に彼氏がいると噂になっていたのだよ」
「まー名前ちゃん人気だろーな、明るいしおもしれーし」
「人気かどうかは知らん」
「まー赤司とか真ちゃんが周りにいるから諦めた奴もいんじゃねーの?」
確かに卒業式の日にバスケ部の後輩から「苗字に彼氏はいないのか」と聞かれたことを思い出す
あの時実際赤司と苗字は付き合っていなかったし、そもそも緑間はお互い好いていることすら知らなかったが、あの質問はそう言うことだったんだろうかと今更ながら緑間は考えた