第24章 動物園

『飲み物取ってきていい？』

「あ、私も行きたいな」

『一緒行こうか、ごめん征十郎通るね』

「ああ」


赤司にどいてもらい、2人でドリンクバーに飲み物を取りに行き戻ろうとすると桃井が「あ！」と声をあげる

その声に何事かと苗字が振り返ると、ソフトクリームの機械の横にあまり見たことない機械が置いてあった


「名前ちゃん！わたあめの機械あるよ！」

『わたあめ？なんで…あ』

「あ？」

『ごめんさつき、これ持って先戻ってもらっていい？』

「うん。いいよー」


ふとその機械を見てひらめいた苗字は桃井に飲み物を預け、わたあめを作り始めた

何か企んでいるんだろうと彼女の楽しそうな姿を見ればすぐわかる

懐かしいなあとわたあめを作る後ろ姿をクスリと笑ってから、桃井は両手に飲み物を持って席に戻った


「名前は？」

「わたあめ作ってるよー」

「まったくあいつは…変わっていないのだよ」

「んなこと言って、真ちゃん嬉しそうじゃん」

「えー大きいの作ってきてくれるかなー」

「紫原っち食べる気っスか…？」

「焼肉とわたあめってなんだよ」


そんな会話をしているとわたあめを作り終えて満足したのか苗字が笑顔で戻ってくる

彼女が手に持っているわたあめを見た緑間は、目を見開いた


「なんなのだよそのわたあめは！」

『え？レインボーわたあめ、さっき話してたじゃん。虹村先輩にぴったりでしょ』

「ブツ！やば、それでそんなデカいわたあめ普通つくる？」

「…オレの頭が虹色に見えてんのか？」

『真っ黒ですけど？どうぞ虹村先輩』


腕を伸ばし仲介され渡されたわたあめをひとつかみ手に取り食べるが、砂糖の甘さが焼肉のタレのあまじょっぱい感じが混じって不味くはない

もう一度言うが不味くはない。だが焼肉を食べる気持ちになっている口には合わない味だったのか、虹村の顔がだんだんと微妙な顔になっていた