第12章 夏祭り 前編
木吉が現れたことにより起こるボケの波に高尾がうずうずしているようだが彼は耐えていた
そんな彼を横目に赤司は「黒子、伝言は」と流れを切る
「あ、はい。日向先輩がスマホくらい持ってけダァホ!って言ってました」
「そうかー、でもオレどっちから来たかわかんねぇんだ」
「結局木吉サンが迷子なんじゃないっスか?!」
「オレも思ってること黄瀬に言われちまった」
「日向先輩に電話します」
「テツ君言うより先に電話かけてるよ…」
「高校の時からこういうことは多々あったからな」
「大変なんだね誠凛って…」
黒子からの電話に日向はすぐに出た。電話越しで要件と場所だけを伝えると「すぐに向かう」と言って彼は詳細を聞かずに切ってしまう
だが、彼は浴衣とは思えない速度で走ってやってきた
「ダァホ!お前何やってんだ!」
「日向、なんか猫がいてなぁ」
「なんだそのお面は」
「迷子の子がいてな、迷子センターまで連れてったらお礼にこれくれたんだ」
「てめぇも迷子なんだから迷子センターで待ってろ!ほら戻んぞ!」
「リコ今1人か?」
「伊月達が戻ってきたから任せてるよ!!」
「そうかぁ、リコ1人だと心配だもんな」
「だぁー!!早く戻んぞ!!」
「ああこれやるよ、さっき屋台の建て直しの礼にもらったんだ」
紫原の手にベビーカステラの袋が渡された。彼はどれだけお礼の品を貰っていたのだろうか
日向に引っ張られ先程居た観覧ブースへ向かう木吉のの姿はどんどん小さくなっていく
そんな中でも木吉は怒ることなくこちらを向いてにこにこと手を振っていた
「じゃあな~楽しめよお前ら~」
「お前のせいで振り回されてんだよ!」
手を振る木吉の姿に彼らはなんとなく手を振ってしまった
そして彼がいなくなった途端、謎の脱力感に襲われたのだった