第23章 あなたと永遠に……16
「本当に怖ろしいわよね」
「野犬の仕業なのかしら?」
「鬼の仕業っていう人もいたわよ」
「どっちにしても人間じゃないわよね」
廊下を歩いていると隅の方で何人かの女中さんたちが輪を作って話をしているのが聞こえてきた。
何を話しているんだろう?
興味本位で声をかけてみると困ったような顔をして口をつぐんでしまう。
「私には言えない事なの?」
「いえ……あまり気持ちのいい話ではないですよ」
「気持ちのいい話じゃないって?」
「実は最近、鶏が襲われているんですよ」
「鶏が?」
「野犬かなんかの仕業でしょうけど……ちょっと不可解なんです」
「血が一滴も残ってなくて死んでるんです」
ドクンと
心臓が大きく波うったような気がして、目まいがしてくる。
上手く呼吸が出来なくて、気持ち悪い。
「かおる様?!」
「大丈夫ですか?!」
「うん……へい……き」
追い立てられているかのように心臓が大きく、早く動いていく。そのたびに息苦しさは増してきて、背中にイヤな汗をかいていく。
だんだんと視界が暗くなってきて……
私の意識は途切れてしまった。