第22章 あなたと永遠に……15
謙信様と離れてから1ヶ月が過ぎようとした頃、にわかに城内が慌ただしくて目が覚めた。
「何かあったのかしら?」
誰かに話を聞こうとして襖を開けると幸村さんが、何やら家臣の人たちと話をしているのが見えた。
会話の邪魔にならないように近くに行くと、私に気付いた幸村さんが嬉しそうな笑顔で私の方に歩いてくる。
「かおる! 喜べ!!」
「何があったの?」
「謙信様たちが戻ってくるぜ」
「本当に……?」
「ああ。今、早馬で連絡が来た」
「いくさは終わったの?」
「いや、いくさにならなかったらしい」
「え?」
「信長の軍は進軍して来なかったみたいだぜ」
「どうして?」
「さあな、詳しい事は知らねーけど、俺たち以外にも敵はいるからな」
「そうなんだ」
詳しい事情はわからないけど、謙信様に会えるなら何でもいい。
謙信様に会える___
嬉しくて顔が緩んでしまいそうになる
ううん、緩んでしまっているかも
「いつ戻ってくるの?」
「夕刻には戻って来ると思うぜ」
「そんなに早く?!」
「お前もちっとは身綺麗にしておけよ」
「っ……!」
おでこを指で弾く幸村さんの笑顔は優しさに溢れていた。
春日山にいる人たちはみんな優しい。
みんな、大好きだよ。
いつまでも一緒にいたい
「まあ、身綺麗にしても大して変わんねーよな」
「んっもう! ひどいよ」
むくれて見せると「悪い、悪い」と笑いながら頭をくしゃりと撫でられて目を合わせて笑いあった。