第20章 あなたと永遠に……14
「やっぱり……」
佐助くんの残念そうな声が静かな部屋に響き渡った。
泣きたいのを堪えて、私は唇を噛み締め自分の手をギュッと握りしめるしか出来ない。
「鬼……」
「え?」
「かおるさん、これは俺が立てた仮説の1つなんだけど」
「……なに?」
「俺とかおるさんは、この時代ではイレギュラーな存在だ」
「イレギュラー?」
「そう。俺とかおるさん……この場合は、かおるさんの存在が歴史に大きく関与しているせいだと考えられる」
私が歴史に関与?
佐助くんの言っている意味がよくわからない私は、黙って佐助くんの言葉に耳を傾けていた。
「史実によると謙信様は生涯、独身だったんだ。でも、かおるさんと出逢い、愛し合ってその史実が狂いそうになっている。それを修正しようとしているんじゃないかと俺は考えている」
「修正……?一体……誰が?」
「それはわからない。ただ、かおるさんの身体の変化はまるでこの時代から排除しようとしているような気がするんだ」
「私を排除しようとしている……」
私はこの時代には要らないっていうことなの?
謙信様と愛し合ってはいけないの?
だから……なの?
私が人間でいられないようにしているっていう事なの?
「佐助くん……私、人間でいられなくなっちゃう?」
「……それは……(はっきりと違うって断言する事が出来ない。俺は無力だ)」
「私の中で……血を求めている私がいるんだよ……」
泣かないようにしていたけど涙腺が壊れたかのように涙が流れ落ちて止める事が出来ない。
私と謙信様は愛し合ってはいけないの?
なら、どうして?
___私はこの時代に来たの?
謙信様と巡りあったの?