第2章 あなたと永遠に……2
あれから私は綺麗な部屋に案内をしてもらい、信玄様が用意してくれた着物に着替えた。
初めは遠慮して断っていたんだけど
「綺麗なお嬢さんに着物を贈る喜びを奪わないで欲しい」と懇願されてしまい、断ろうにも断れなくなってしまった。
(綺麗なお嬢さんではないんだけど、信玄様っていう人は口が上手いと思う)
「かおるさん、着替えは終わった?」
「うん」
「じゃあ、失礼するよ」
襖が開いて中に入って来るのかと思ったのに、なかなか部屋に入って来ない佐助くん。
不思議に思いながら、歩みよると何故か目を見開いている。
「どうしたの?」
「……かおるさん……」
「はい?」
「とても似合っているよ」
「っ……」
私の知っている佐助くんは、わりと感情を表にだすタイプではない。
その佐助くんが若干、頬を染めて褒めてくれると私まで気恥ずかしくなってしまう。
「どうも……ありがとう」
お礼の言葉を言うだけなのに、何となく心が落ち着かなくてそわそわしてくる。
気まずい空気が流れて困っていると佐助くんもそれを察してくれたみたい。
ふっと顔を緩ませて
「謙信様にご挨拶に行こうか」
「……ご挨拶……した方がいいんだよね」
「どうしたの?」
「……なんでもないよ。これからお世話になるんだから挨拶をちゃんとしないとね」
綺麗な人だからかな?
ちょっと近寄り難い雰囲気を持っているような気がする。
(落とされた事もちょっとだけ、根に持っているんだけどね)