第15章 あなたと永遠に……10
部屋に戻ると誰も寝ていない布団を見詰めている謙信様の姿
怒っているよね?
分かりやすいくらいに怒っている謙信様のオーラが怖くて私はお膳を抱えたまま立ち尽くしてしまっていた。
「かおる」
「は、はいっ」
「今日は大人しく寝ているように申し付けたはずだが?」
「……あ、あのっ……」
「言い訳は聞かぬ」
出会った頃のような冷たい眼差しが私を見据えてくる。
「っ……」
気付けば私の手からお膳が離され、目の前に立つ謙信様が無表情で私の頬に触れていた。
「……謙信様?」
「朝に比べると肌つやも良くなったようだな」
「ぁ……」
ふと表情を和らげる謙信様が、まるで怒ってはいないと言っているような気がしてしまう。
「俺の言い付けを守らなかった仕置きは、後でゆっくりと与えるとして___調子は良さそうで何よりだ」
慈愛に満ちた謙信様の笑みに胸が押し潰されそう
本当にこの方は、私の身体を心配してくれていたんだ。
だからこそ、本気で怒るし
元気だと分かると安心して微笑みかけてくれる。
謙信様の深い愛が私の全てを包み込こんでくれる。
これほどまでに深い愛に出逢ったことがない
「心配かけてごめんなさい」
抱き付きたい衝動を抑えられなくて、背中に腕を回し胸に顔を埋めてしまう。
「自ら仕置きされにくるとは……愛いやつだ」
「んぁ……」
首筋に与えられた甘い痛みが愛おしい___