第13章 あなたと永遠に……8
謙信様と戯れていると前から歩いてきた信玄様が苦笑いを浮かべながら声をかけてきた
「謙信……ほどほどにしないとかおるに嫌われるぞ」
「信玄、余計な口を挟むな」
「束縛する男は器量の小さな男のする事だぞ……なあ、かおる?」
「え?」
私に振らないでほしいし……
「俺のどこが束縛してると言うのだ」
「お前……わかっていないのか?」
呆れながらも笑みを浮かべる信玄様の瞳は、優しく謙信様を包み込んでいるみたい。
「意味がわからん」
「はぁー……ったく」
頭を抱えるような仕草をしながら私の肩を慰めるかのようにポンポンとする信玄様。
「かおる……こんな奴だが見捨てないでやってくれ」
「こんな奴とはどういう意味だ?」
「人より若干、情が深い男だから苦労はすると思うが___辛くなったらいつでも俺の胸を貸すからな」
「え?」
冗談だか本気だかわからない笑みを浮かべる信玄様だけど、私の身も心も謙信様の物だから。
「有難いですけど……大丈夫ですよ」
謙信様が私の事を深く愛してくれているのは分かっているから
「きみまで惚気るとは……」
「信玄なんぞにかおるは渡さん。気安く触るな」
「お前からかおるを奪う気はない。安心しろ。
俺だって命を粗末にする気はない」
苦笑しながらも信玄様の笑顔はとても温かい
満ち足りた想いが私を笑顔にしてくれる