第12章 あなたと永遠に……謙信side5
目は口ほどに物を言う__
確かにな。
かおるの熱い眼差しが自分に向けられていれば分かる。
俺は馬鹿ではない
自意識過剰でもない
かおるが、俺の事をどう想っているかなど、一目瞭然でわかる。
では、俺の気持ちは……
自身に問うとはっきりとはしない。
元々、女を好きになるという感情が理解出来ないからだ。
自らが惚れた女はいない。
女に現を抜かしているならば、戦場で刀を奮っている方がよほど良い。
生死の境での命のやり取り
自分に流れる血が熱く滾る心地良さ
__いくら女を抱いても戦場にいるような熱く滾る心地良さを感じた事がない。
しかし、今
俺の目の前にいるかおるを見ていると無性に触れたいと切望している
熱のこもった瞳で見つめられるだけで、胸の奥が熱く疼いて仕方ない。
それはまるで戦場にいるような熱く滾る心地良さに似て非なる心地良さ
切なくて甘い心地良さ
口づけだけでは物足りない
もっとかおるに触れたい
手を伸ばし抱き寄せると小刻みに肩が震えている。
春とはいえ夜はまだ冷え込むからな
「かおる……」
「はい……」
「俺との口づけは嫌か?」
「いいえ……いやじゃありません」
「そうか」
俺はかおるを横抱きにして立ち上がった。
「謙信様……?」
「今宵は冷える……温めてやる」