第7章 あなたと永遠に……5
「うーん……金魚すくいって難しいよね」
水に濡れたけど、まだ破れていないポイを見つめていると
「ここにいたのか……何をしている?」
「金魚すくいですよ」
「金魚すくい?」
「やった事がないんですか?」
「……ない」
金魚すくいをやった事がない謙信様にやり方を説明してみると興味をもったのかな?
私の手からポイを取って金魚を見つめはじめた。
ふっと顔を緩ませ、ポイを静かに桶の中に沈めていくと
「え?……嘘でしょう?」
水の中を悠々と泳いでいた金魚が、我先にと言わんばかりにボイに集まっていくじゃない。
どうして?
そんな事ってあり得るの?
たまたま……だよね?
不思議な光景に唖然としていると難なく金魚をすくいあげる謙信様
(何十匹いるの?)
「金魚すくいとは簡単なものだな」
「さすが、謙信様です!! お見事な腕前でございます」
大量に金魚をすくいあげた謙信様を褒め讃える金魚屋のおじさん。
見事な腕前って……
謙信様の力で金魚をすくいあげたの?
どう見ても金魚が自らポイに入っていったような気がするんだけど……
(まさか……気のせいだよね?)
現実にはあり得ないことだけど
ふと、佐助くんの言葉を思い出してしまった。
「謙信様にはカリスマ性がある」
謙信様のカリスマ性は人間以外にも有効なのかな?