第5章 あなたと永遠に……4
「な……なんでもないです」
「ん? おかしな奴だな」
……おかしいのは謙信様の方だよ
普通、口元についた餡子を舐める?
舐めないよね?
恋人でもないのに__
なんだか釈然としないけど、言葉を飲み込んでしまった。
「それよりも……」
「なんでしょう?」
「この部屋にある物は信玄からか?」
「そうですけど……」
「この着物も?」
「はい」
「化粧道具も?」
「はい」
「この飾りも?」
「そうですけど……何か問題でも?」
やっぱり貰いすぎている?
返した方がいいのかな?
「いや、別に……かおる……」
「は、はいっ」
心臓が跳ね上がった__
と、いうよりは体から突き出たんじゃないのっていうくらいにドキッとしたんだけど
まさか、名前を呼ばれるとは思っていなかったから
「口を開けろ」
「え?」
「さっさと開け」
「どうして?」
「開けないのなら無理やり開けさせてやろうか?」
スッと目を細める謙信様が怖すぎる
意味もわからずに軽く口を開くと何かが私の口の中に入ってきた。
「ん……甘酸っぱい……」
梅干し__かな?
まるでキャンディを食べているみたいに口の中で転がして味わっていると
「美味いか?」
「はい、とっても……梅干し、大好きですから」
「そうか」
満足そうに微笑むとそのまま部屋を出ていく謙信様
一体何だったんだろう?
謙信様って不思議な人
後日、私の部屋に入りきらないほどの贈り物が謙信様から贈られてきた