第5章 あなたと永遠に……4
「珍しいな謙信、かおるの部屋を訪ねてくるとは」
「廊下まで煩い声が響いていただけだ」
やっぱり……
不機嫌?
私の方は絶対に見てくれない
それがなんだかモヤモヤする
歓迎会と称して幸村さんと呑みくらべをした夜から今まで会ってなかったんだけど、私なんかしたかしら?
もともと歓迎してくれているとは思ってはいないんだけど、あからさまに私を無視しているような気がする……
「幸村……」
「はい?」
「庭の掃除を言っておいたはずだが?」
「あ!!」
「庭が汚いのは見るに堪えん」
「今!! 今、やってきます!!」
慌てて部屋を飛び出していく幸村さん
なんだか凄く怯えていたような?
「信玄……」
「ん?」
「お前の部屋で見知らぬ女たちが言い争いをしていたぞ」
「鉢合わせしないように時間をずらしたはずだが」
「あまりに煩いから小刀を2人に与えてきてやったぞ」
「それはマズいだろ」
慌てる事もなく私の頭を撫でて「また、後で来るよ」と言い残して部屋を出ていく信玄様。
どうしよう?
今、謙信様と2人っきりなんだけど……
気まずい
ものすごく空気が重い
「……手に持っているのはなんだ?」
「へ?」
まさか謙信様から話かけてくるとは思わなくて、変な声をだしてしまった。