第26章 あなたと永遠に……最終章
「謙信様……夕焼けが綺麗」
「そうだな……」
1日の終わりを告げる夕焼けが儚くも美しい
まるで謙信様みたい
「お願いがあるの」
「なんでも言ってみろ」
謙信様の柔らかな髪を忘れないように何度も触れる。
「決して……自らの命を断たないで」
「わかっている」
「んっ……」
おでこが一瞬にして熱を帯びる。
「魂を傷付けるような事はしない。そんな事をしたらかおるに逢えないからな」
「そうですよ……どんなに辛くても人生を全うして」
私たちの愛は一瞬で消え去ってしまうものじゃない。
魂と魂が惹かれ合っているから、いつでも巡り会えるはず。
私がこの時代からいなくなっても新たな時代で、もう一度出逢って、恋して、愛しあう事が出来るって信じているから。
お互いの指を絡めあって静かにその時が来るまで待つ。
「この花の花言葉を知ってますか?」
「花言葉?」
「花言葉は約束と幸運」
「なるほどな……では、この花に誓って__
必ずかおるを見つける。何処にいても」
「私も……」
地平線に隠れるように太陽が沈んでいき、辺りはだんだんと暗闇に染まっていく。
そろそろ時間だ
「謙信様……」
「すぐに迎えにいく」
「はい」
私は精一杯の笑顔で応える。
これがお別れじゃないから
私たちはまた出逢える
今度は平和な時代で平凡な幸せを掴むんだもの。
私は私らしく、この時代での終わりを迎えるだけ
ありがとう、謙信様
そして、ごめんなさい
あなたに辛い役目を押し付けてしまって……
「愛してます。私の魂は……あなたと永遠に」
最後に映った謙信様の慈愛に満ちた笑み
2つの色の瞳が私を包み込んでくれる
私は静かに瞳を閉じた___
「かおる……永遠に愛してる。
俺は生涯お前だけを愛すると誓う」
*完*