第25章 あなたと永遠に……17
「謙信様……私は人間としてこの時代を生きて、終わりにしたいんです」
1度でも謙信様の血を飲んでしまった私の末路はわかっている。
私は私の中にいるモノと同化してしまう。
それは逃れる事は出来ない。
「もし、今この場所に現代に帰るための道があったとしても私は帰らない」
「なぜだ?」
「謙信様がいないから」
「かおる……」
私が現代に戻れば人間として生きていけると思う。
でも、謙信様がいない現代には何も価値がない。
私はただ息をしているだけの人生を送ってしまう。
そんなの嫌よ。
だから、ごめんなさい謙信様。
私の我が儘を聞いてください。
「謙信様……この時代から私を消して」
「それは俺に斬れ……という事か?」
「はい……」
謙信様は驚くどころか至って冷静な顔をして私を見つめている。
まるで私がそう言うのがわかっていたかのように。
「私は自分で命を断つ事は出来ません。どんな理由があっても、自分の命を断つという事は魂を傷付けてしまうから」
「魂を傷付ける……」
「私は謙信様の事を愛しています。今も……これから先の未来でも。
だから、魂を傷付ける事は出来ない。
あなたを忘れないように……」
胸が苦しい……
涙が溢れそうになる。
謙信様と離れたくない
いつまでもこの時代で時を過ごしたい
謙信様とまだ見ぬ子供たちと一緒に……
でも、それは許してもらえない
人間の私では太刀打ちできるような相手じゃないから。
それでも定められた運命に抗いたい。