第25章 あなたと永遠に……17
ずっと聞こえていた。
謙信様には知られたくないから黙って!!
何度もお願いをしたのに。
まるで底なし沼にいるかのように私は自由に動けなくて、声もだす事も出来なかった。
やっと自由になった時にはもう遅くて……
謙信様はすべてを知ってしまった後だった。
「かおる……泣くな」
「っ……私っ……私……」
お願い、私をしっかりと抱きしめていて。
どこにも行かないように
私が人間らしくいられるように……
私の身体を使って酷い事をしないで
血なんか欲しくない
私を包み込むように抱きしめてくれる謙信様の腕を離したくない。
「泣くな……かおる」
「ふっ……うっ……謙信……さまっ……」
謙信様の肩口に顔を埋めて泣いていた私。
その時、私は……
どうして?
力強く脈打つ頸動脈に魅入られてしまう。
ドクドクと生気溢れている。
ダメ……
私を守らないと
:上手そうな馳走じゃ:
やめて!!
:我はハラがヘッタ:
減ってない!!
:血がホシイ:
ほしくない!!
:まだ抗うのか?:
当たり前だよ
私は人間。
たとえ、この時代に不必要であっても人間でいたい。
ううん、人間で有り続けるもの。
意識が混沌とするけど、私は絶対に私を手放したりしない。
ダメ……
絶対に。
なぜ?
どうして?
暗い暗闇に包まれてしまうの?
:我と同化せよ:
その誘いに抗いたいのに、どうして?
私は暗闇に向かって歩いていくの?