第24章 あなたと永遠に……謙信side8
しばらくして自分の腕が軽い事に気付いた。
「かおる?何処に行った?」
蝋燭の灯りを頼りに見回してみるが、部屋にいるような気配はない。
外にでも行ったのか?
蝋燭を片手に庭に行くと蒼白く光る月明かりの下かおるがしゃがみ込んでいた。
この時の俺は初めてかおるではないかおると出会う事になった。
風に乗って微かな血の匂いが横切っていく。
「貴様は……誰だ?」
「かおるだよ……私の愛する謙信さま……くすくすっ……」
かおるの姿でかおるの声で、かおるじゃない者が答える。
「さっさとかおるの身体から出て行け」
「まあ、謙信さまったら。私の存在を無視するおつもりですか?」
ニタニタと不気味な笑みを浮かべ俺をのぞき込んでくる。その瞳は血のように紅い。
「私……悲しくて泣いちゃうわ」
「かおるを返せ……さもなくば……斬る」
柄に手をかけると
:我を斬ればこの女の命も斬るが……それでも良いのか?:
地獄の底から響くような低い声。
かおるの愛らしい声とは真逆だ。
「去れ、物の怪」
:物の怪……? あのような下等な者と一緒にされるとは……怒りを通り越して愉快だぞ:
狂ったかのような高笑いが静かな闇に響いていく。
こいつがかおるを苦しめる元凶か