第4章 月島夢02
バレー部の人達ほとんどに言えることでもあるけど、私の彼氏、月島蛍はその中でも1番背が高い。
平均的な背の高さの私とは30cm近く差があって…歩きながらとか立ったままだとなかなか顔を見て話すのが大変だ。
でも私は彼の顔を見上げながら話していて……足下に気付かずよく転びそうになる。
今も段差に気付かないでバランスを崩したんだけど、蛍が腕を掴んでくれて転ばずに済んだところだったりする。
「あは、いつもありがとー蛍。」
「あのさぁ、もう少し下見て歩いたら?転んで痛い思いするの、柚季だよ。」
そう言って蛍は溜息をついた。
…確かにその方が転ばないだろうけど……。
「……でも、そしたら見えないじゃん。」
「見えないって何が?」
「蛍の顔。…私、蛍の顔見ながら話すの好きなんだよ。」
「っ!………ほんと物好きだよね、柚季って。」
僕も人のこと言えないけど、なんて言いながら蛍が私の手をぎゅっと握った。
「蛍?」
「……こうしてたら転ばないデショ。」
仏頂面で顔を背けてるけど、耳が赤くなってるのがよく見えて……何だか嬉しくなって蛍の手を握り返す。
「うん!……えへへ、今日の蛍は優しいね。」
「………たまにはね。」