第12章 貝の味
「だから嫌なんですって…」
「なんで?」
食卓に並んだそれを見て絶句する和。
「無理なものは無理…。
いい加減分かってくださいよ」
「美味しいのに」
頑なに嫌っているのは貝。
今日のご飯は貝を使ったパスタ。
和の好き嫌いをなくそうと買って来たものだ。
「お腹空かないの?
食べなくて平気?」
「空くけど…でも嫌だ」
嫌だ、なんて和らしくなくて可愛い。
いつも弱音を吐かず頑張ろうとするから。
「じゃあ貝の実は良いから麺だけ食べたらどう?」
貝の実の入ったパスタ。
勿論クリームにも貝が使われている。