第11章 雨の味
雅紀の顎を持ち上げ、目を見つめて告げる。
「大好きだよ、雅紀」
「…俺もっ、だーい好き」
赤くなっている顔を見られないよう、そのまま唇を塞いだ。
「智のキス魔…」
そう呟いてポスッと顔を首筋に埋める雅紀。
「そうだよ。
雅紀とならキスしたい、いつでもどこでもね」
「俺も。
智ならいいよ」
「じゃあ今からしても良いの?」
「うん。
あ、待って。
俺からしたい」
顔をゆっくり近づけると雅紀から言われた。
「たまには良いでしょ?」
「うん、いいよ」
そこで動きは止め、目を瞑って雅紀を待つ。
しばらくするとチュッ、と待っていた感触が訪れた。
暖かって、柔らかくて、甘い雅紀の唇を。