第5章 嫉妬の味
今日はオフであり翔ちゃんの家でデート!
なんて浮かれていたのは俺だけみたい。
俺って空回りしてばっかだなぁ。
「ねぇ、何怒ってるの?」
部屋の隅にあるソファーに脚を組んで座っている翔ちゃん。
そんな翔ちゃんから発せられる空気は重くて冷たい。
怒ってるとしか考えられないよ。
「別に怒ってないよ」
目を一切合わせずに告げる。
「ねーねー、俺なんかした?」
静かな部屋に俺の声だけが響く。
完全に俺だけ浮いてるよね。
「ねぇ、なんかしたの?」
翔ちゃんの方に近づき、顔を覗き込んでも…。
「別にしてないよ」
フイッと顔を逸らされる。
いつも優しい翔ちゃんなだけに、それには凄く傷ついた。
今まで翔ちゃんから目を逸らされたことも、怒られたこともなかった。
それって俺に遠慮してたから?
それともどうとも思ってなかったから?
俺の心がグラグラと揺れ始めた。