第5章 歌声 (裏:政宗、家康、信長)
(もう断れないよね・・・恥ずかしいけど、仕方ないか・・・)
「そんなに多くは歌えませんよ・・・」
「お願いします、湖様」
三成の微笑みに、湖は観念したように目を瞑ると歌い始めた
『ここから始まる 物語
それは、あなたの物語
長い、長い道が続くよ
太陽の日差しに 強い風 雨も降るでしょう
でも、虹色の雨 降り注げば 空は高鳴よね
昨日は?今日は?明日は?
あなたのページにどんな物語が刻まれるの
何もない日なんてない
違うから 時が流れてるの
繰り返しなんてない
過去があって 現在があるの
道は続くよ ずっと 永遠に』
「…どうですか?」
しばらくの沈黙の後、信長が言った
「まだあるのだろう?他も歌え」
「えぇっ…!まだ?!」
その後、政宗が聴いていた歌、秀吉と家康が聴いていた歌も続けて歌わされた湖は
「休憩させてください…疲れました」
と、一時食事の席へと戻った
「妙な歌だが、おもしろい」
信長と光秀は同意見
「湖の声は澄んでて聴き惚れる」
秀吉と三成の意見
「変な歌だが、お前らしくていいんじゃないか」
政宗と家康はほぼ同意見
一通り感想を聞き終わると、湖は胸を撫で下ろす
(よかったぁ…もう緊張するやら、恥ずかしいやら…)
「…湖、湖」
「へっ?あ、はい」
「お前、聞いてなかったな」
秀吉に呼ばれ、そちらを向くと呆れたという表情で見られていた
「すっすみません、もう一度お願いします」
「食事が済んだら、酒の席でもう一度歌えと言った」
答えたのは、秀吉ではなく信長
「え?!まだ歌うんですか?!」
「…それとも、歌ではなく…今宵は夜…」
「っ…、歌いますっ!」
こうして、彼らが飽きるまで声が嗄れるほどほど歌わされたのだった