第2章 目覚めの一日
天井を見上げるが、そこは馴染みのある天井ではない
「…夢じゃない…」
(もしかしたら…って希望があったけど、やっぱりこれが現実…)
まだ薄暗い中、湖は掛けてある羽織にくるまって再び目を閉じた
「…湖」
誰かが呼んでる気がする
「そろそろ起きろ」
(まだ…もうちょっと…)
声の主は、私を揺すると羽織をはぎ取った
「…やっ…さむい…」
「じゃあ、温めてやろうか」
そう声がすると、温もりと同時に腰や太ももをするりと手が滑る
「…っあ…ん…」
(…なんか変…や…)
重たい瞼を開けると、政宗の顔が見えた
「やっと起きたか」
「…おはよう…ござい…!」
自分の置かれている状況を…
「なんで政宗さんに抱っこされてるの?」
「政宗な、政宗。お前が何時までも起きてこないから起こしに来たんだ。それより、このまま続けていいのか?」
政宗の手が内腿をするりと撫で上げたので
一気に目が冴え、着物の乱れや政宗の手の位置を把握した
「や、やめてください!」
立ち上がろうとするが、強い力で腕のなかに閉じ込められ離れられない
「政宗さん…!離して!」
政宗は内腿から手を離すと
「お前、良いにおいがするなぁ…」
と、更に力強く抱かれた
(や…やめてーっ心臓が…)
「すっげー鼓動…うるさいくらいだ」
「じゃ、じゃあ、早く離してください!!」
(恥ずかしい~~)
「政宗だ」
「…は?」
「言ってみろ…さん、とか付けんなよ」
「ま…政宗…」
(私絶対、今赤いよー!もー離れて!)
「よし、良くできた。じゃあ、離すが走るなよ。また猫になっても困るだろう?」
了解の意思を込め、頷くと政宗は拘束を解き立ち上がった
「着替えたら朝飯食いに来い」
「…うん」
顔をあげられず返事をすると
「…お前、寝相治せよ。すごかったぞ」
そう言い残し襖を閉められた
(っ…やっぱり、やっぱり見られた!?)
湖の寝相は決して良くはない
むしろ転がってベットから落ちるようなタイプだ
(私、着物で寝るのはじめてで…これ、寝衣の意味をなしてない…)
足も肩も見てくれとばかりむき出しでまるで用途がなされていなかった
(恥ずかしすぎるよー!)
「…ダメだ、遅くなるとまた誰か来ちゃう」