第1章 ◎prologue
屋上に登ると、空が一層近くなったように見える。
人はそれを「錯覚だ」と言うけれど、自分がそう思ったんだから、その思考を邪魔することなんてできないと思う。
屋上のフェンスを乗り越えて縁に腰掛けると、「危ない」とか、「何してるんだ」とか、いろんな声が聞こえてきた。
…………別にええやん。
好きでやっとることなんやから。
きっと大声で怒鳴ってる人は、こんな日に人が屋上から落ちてくるなんて、青天の霹靂やろな。
ぐるぐると走馬灯が駆け巡るなか、ちょっと欠伸をしてしまう呑気な俺は、そんな事を考えてた。
足を空中に投げ出しながら、ここ4ヶ月の事を振り返る。
確か……
変化に気付いたのは、8月。
ニュースで「今年最高気温」ってアナウンサーが叫んでて、よく覚えてる。