第1章 白い空
ふんふふん♪
鼻歌を歌う少女がいた。
キャミソールの上に茶色の丈の短いジャケットを羽織り、黒のミニスカート、紺のニーハイ、茶色のブーツを履いている少女は今
壁の上に座っている。
「・・・今日も壁は壊されなかった。」
「ユリア。」
そう呼ばれる声がして、少女はその声の方へと顔を向ける。
ユリア・キール。
赤色の地毛は腰まで伸びており、風が吹くたびにゆらゆらと揺れている。
ユリア「なぁに?マーレ。」
マーレ・キール。
茶色の丈の短いジャケットに白いYシャツ。ベージュのズボンを着用している少年。黒の髪がサラサラと風に流されている。
二人は双子の姉弟。見た目の違いに姉弟に見られない事も多くあるようだ。
マーレ「もう夕刻だ。降りよう。」
ユリア「・・・それもそうね。」
彼らのジャケットは本来ならば調査兵団や駐屯兵団、憲兵団のいずれかの紋章が入っているはずなのに、彼らにはその紋章はない。
彼らは兵でありながら、どこにも所属していないのだ。
ユリア「ディナーのお誘い5件。」
マーレ「全部却下。」
ユリア「何だか今日は荒れてるねぇ。」
そんな、彼らのお話し。