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人外王の花嫁

第1章 異界の花嫁


「静まれ」

赤い瞳の角のある一番偉そうな人が犬と虫の喧嘩を止めた。二人とも互いを睨み合って不満気にしながらも押し黙った。

「こやつが人間界のログとジルが送ってきた娘に違いは無いのだ。不満のある者は手を出さなければ良い…だがその代わり、自身で子作りを頑張るのだな」

椅子から立ち上がった角の有る人は、ゆっくりと階段を降りて私の前へ立った。

「私は悪魔国のアダマンドだ」

それに続くように犬の人も側に来て、フンフンと鼻を鳴らす。

「俺は獣の国、狼のラウルフ」

触覚の有る人が舌打ちをしつつやって来た。

「虫の国、キリヤ」

それぞれに名前を名乗ってくれたのだけれど、透明の人は先程から私を一度も見ていない。今も興味は無いとばかりに、顔を背け何処かをぼーっと見詰めている。
その様子を見た悪魔が吐息をついた。

「こやつは魔物の国、スライムのルナールだ。そなたの名は?」

私はこの、人ではない人達とセックスする。小さい頃からそうだと聞いて育ったし覚悟も出来てはいるけれど、やっぱり少し怖かった。私は震える手を誤魔化すように両手を祈るように組むと頭を垂れた。

「わた、私は…と申します。王様方、どうぞ宜しくお願い致します…」

気をつけていたのだけれど、声は少し震えてしまった。

「、そなたは我らと何をするか理解しているか?」

私は緊張に唾を飲み込んで、頷きを返した。

「そうか、なら話しは早い。そなたには我らの子を産んで貰う。この四人の子ならば誰でも良い。多く、そして元気な子を産むのだ」

「はい…」

私は改めて床に手をつき頭を下げた。

「まずは一週間、私の元で過ごして貰う。次はラウルフ、キリヤ、ルナールの順になる。安心しろ、無体は働かぬ」

私はかしこまって更に頭を下げると額を床へと押し付けた。その様子に悪魔が私の側に膝をつくと、顔を上げる様に促した。そしてそっと手を取り立ち上がらせる。

「そう畏まるな。そなたは今から我ら四人の花嫁となったのだからな」







そう私は花嫁。
今日、私はこの瞬間から人ではない四人の王の花嫁となった。
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