第7章 人外王の花嫁
「、来たぞ!」
「ちょっと、僕より先に入らないでよ…って、ルナール!どさくさに紛れてに抱き着かないで!」
「、会いた、かった」
ここは控え室。私は白いドレスを身にまとって、緊張に体を強ばらせていた。
そこにやって来たのはラウルフ様とキリヤ様とルナール様だ。
キリヤ様が、部屋に入るなり私を抱き締めて頬擦りしてきたルナール様を剥がそうと引っ張っている。
「こらルナール、離れなよ!」
「やっ、だ…」
ルナール様の力が強くなって、私を力一杯抱き締めてくる。それを慌ててラウルフ様が引き剥がした。
「おいおい、に無理させんなよ。腹の子に障るだろーが」
その言葉に私は頬を染めてそっと自分のお腹に触れた。
「ご、ごめ…」
「ルナール様、大丈夫ですよ。…皆さん、今日は来て下さって有難うございます」
皆が嬉しそうに笑った。
「ちぇっ、最初は俺だと思ってたのによ」
「悪魔って本当に狡賢いよね」
「、次、僕の子供、産んで?」
次は僕でしょ、嫌俺だ、と賑やかに騒ぐ三人に笑いを吹き出した。そう、私のお腹の中にはアダマンド様の子供がいる。
この世界での出産は人間世界のように時間がかからないらしく、お腹が大きくなる前にと大慌てでアダマンド様が式の手配をしてくれた。
今日はその結婚式の日。
皆がお祝いに来てくれた。
「結婚式だって、俺が一番だと思ってたのによぉ」
「、僕との結婚式はこんな悪魔がするみたいな辛気臭いのじゃなくて、もっと豪華なのにしてあげるから!」
「でも、、すごく、綺麗」
ルナール様の言葉に三人が改めて私を見た。その視線が気恥ずかしくて頬が熱くなる。
「…確かに、綺麗だな」
「あの悪魔の為だと思うと癪だけどね…うん、まぁ、綺麗なんじゃない?」
私を見詰める三人の頬が染まっているのに気付いて余計に照れてしまった。
「有難う、ございます」
照れながら言うと、ラウルフ様がワオーンと吠えた。
「駄目だ、このまま俺の国に連れて帰る!」
「はぁ?何言ってんの?僕が連れて帰るよ!」
「、僕の国、帰って、甘いの、食べよ?」
三人が自分の所にと騒ぎ出す。さっきまでの緊張が何処かへ行ってしまった。私は三人のやりとりに声を上げて笑った。