第7章 人外王の花嫁
「他の者共も同じだ」
チュッと音を立てた口付け。鼻の頭を触れ合わせる近い距離でアダマンド様が何かを思い出したのかククッと喉を鳴らして笑った。
「他の者?」
不思議に思って見返すと、アダマンド様が悪戯っぽく目を細めた。
「あぁ、そうだ。そなたが拐われたと知ってラウルフは怒りまくってな。ルナールは泣き続け、キリヤに到っては…平気なふりをしつつも、間違えて茶に塩を入れて飲んでいたぞ」
具体的にその様子を思い出し、ふはっ、と笑いを吹き出したアダマンド様に私も笑ってしまった。皆、そんなに私を心配してくれたんだ。
「アダマンド様は?」
「私か?……そうだな」
アダマンド様が目を閉じて大きく息を付いた。そして私の手を取り自分の胸元へと触れさせる。
「ここが痛かった。思ったより、お前の不在は…こたえた」
そう言って苦笑いを浮かべるアダマンド様に胸がキュンと締め付けられた。あぁ、私は王様達が大好きだ。
その想いを込めてアダマンド様に強く抱き着いた。
「アダマンド様、大好き」
私の言葉に嬉しそうに笑うと、アダマンド様が私の後頭部を手で支えて深く口付けてきた。
「んっ、ふぅッ」
「っ……愛している、そなたを、心から…」
私の心の奥にしまい込まれた嫌な記憶が溶けていく。冷たくて暗いその場所に光がさして、温かくて優しい気持ちになって行く。
アダマンド様、アダマンド様!
「あっ、はぁっ、はぁ…好きっ、です、好きぃ」
私は必死で舌を絡めた。深い貪るような口付けを交わしながら、アダマンド様の指が下の茂みへと触れた。そして割れ目に辿り着くと、既に蜜が滲むそこを撫で上げる。
「んんっ」
「濡れておるな、心地好いか?」
私は泣きそうになりながら頭を上下に動かし頷いた。
「はいっ、はい、気持ち良い、です。幸せで…嬉しくて…」
ポロポロと零した涙をアダマンド様が舌で舐めとった。
「悪魔の花嫁になって嬉しいのか?」
「はい、嬉しいです」
きっぱりと言い切ると、アダマンド様が目を細めて微笑んだ。そして真摯な瞳でじっと私を見詰める。
「では私の心をそなたに捧げよう。死ぬまで、いや、死んでからも。私の心はそなたのものだ」
誓う様に言われて、歓喜に溢れる涙を堪える事が出来なかった。私は必要とされている、愛されている。
心からそう思う事が出来た。